TeaTown’s blog

持続可能な社会に向けた独り言

式年遷宮方式の都市計画

近年、持続可能性(sustainability)ということが、社会活動のあちこちで言われるようになりました。都市のあり方にも持続可能性というのは大切な概念だと思います。

 

現在のパリは世界の中でも美しい都市の一つとして有名ですが、今の街並みは、ナポレオン3世の時代に、セーヌ県知事ジョルジュ・オスマンにより実施された都市改造計画の賜物であり、それまでの劣悪な不衛生な都市環境から大きな変革を遂げたわけです。現代の都市は、ある意味その乱雑さが魅力であることもありますが、19世紀のパリの大改造に匹敵するようなデザイン原則が必要になってきているのではないかと思います。

 

東京など日本の都市を見るに、もっと緑の空間が欲しいなと思うのは私だけでしょうか。最近の新型コロナで社会も大きく変わる必要がありそうですが、一つの方向性は、空間の確保だと思います。そういう意味でも、都市内の公園や緑の空間をもっと増やすべきではないでしょうか。

 

疎な空間が必要とはいえ、居住空間が広範囲に延びるのは、昨今の自然災害の激甚化を考えると、自然災害に弱い場所への居住に繋がり良くありません。建物の強靭化と自然災害に強いエリアへの居住や自然災害に強い建物への居住に切り替えていくことがが必要だと思います。昨今言われているコンパクトシティという考えが当てはまると思います。この観点で、個人的には、集合住宅(マンション)居住への切り替えが良いと思っています。もちろん、自然災害に強いエリアでは一軒家というのもあるとは思いますが、そうでない場合は自然災害への対応力という点で難しいのではないかと思うわけです。

 

そこで緑の空間と複数の建物からなる区域を基本ユニットとした都市計画というのを推奨したいです。例えば、建物A、建物B、建物Cと公園を一つのユニットとして考えます。建物A,B,Cは適当な年数をあけて建築します。建物の耐用年数が来ると、公園部分にその建物を新築して出来上がったら移動します。古い建物は取り壊して、新たにそこを公園とします。

 

たとえば、マンションで考えましょう。マンションが3棟と公園からなる区画を基本単位とします。マンションは、ざっと60年で建て替えが必要とします。この場合、3棟のマンションは20年づつ期間をずらして建築するのが良いでしょう。さて、マンション建築から60年経過すると、公園の区画に新しいマンションを建築し、古いマンションからそこに移り住むことになります。移住後、元のマンションは解体し公園になります。こうすると、定期的にマンションは新築され、緑の空間も維持されることになるわけです。定期的な新築が前提なので、資産価値も維持できることが期待されます。

 

こういう方式は、実は、伊勢神宮などで古来から行われている式年遷宮という方式を都市計画に応用するものと言えると思います。まさに、長期にわたって持続している神社の知恵を都市にも応用するということになります。