北海道地震でレジリエンスについて考えたこと
2018年9月6日未明に北海道胆振地方で震度7の地震がありました。地滑りで多くの方が亡くなり、ご冥福をお祈りするばかりです。
今回の地震では、北海道の電力ネットワークが脆弱な状態だったことが露わになりました。たった一つの火力発電所がダウンしたことで全道が停電になってしまったのです。通常こういう電力ネットワークでは一つのノードの機能停止で全ネットワークが機能不全にならないようにするのは当たり前のことです。さすがに北電もそれは認識していたようで、今年の末には小樽のLNG火力発電所の稼働開始というところだったようです。自然災害は人間の対応を待ってはくれませんでした。
ただ、素人考えながら、この小樽のLNG火力ができていたとしても、巨大な発電容量を持つ発電所が二つあるという状態で、ネットワーク全体のレジリエンスを考えると、まだまだ不安定な気がします。もっと、分散した電力ネットワークを構築する必要があるのではないかと思うのです。プロの北電としてももちろんそういうことは考えているのでしょうが、あえて、苦言を呈したいと思います。
というのも、現代社会において、インフラで一番重要なのが電力だと思うからです。現代社会のほぼ全ての経済活動の基盤となっているのが電力です。水と食料ももちろん重要ですが、これも電力に支えられているものが多いです。昨今はマンションが多いですが、屋上の貯水タンクに水を貯めるのに電気が必要です。お湯を沸かすのにも温度コントロールなど電気で制御しているものがあり、電気がないとお風呂にも入れません。電気がないと、冷蔵庫がダメになり、様々な食糧貯蔵に問題が起きます。それから、近年はスマホなどIT機器での通信機能が安否確認や災害情報入手の観点で重要性を増していて、これも電気が必須です。これら以外にも、電気があるとないとでは、災害時の避難生活・復興に向けた動きに多大な影響があるのは自明なことです。
なので、電気の復旧がなにより重要と言えるのです。
そんなことを考えているなかで、日産が2015年の国連防災会議の際に作ったビデオ(の編集版)を公開していました。このビデオではEVのリーフが災害時に電力源として多様な使い道があるということを見せてくれています。
2015年の国連防災会議の動画を急遽再編集しました。#北海道胆振東部地震 では幸いガス/水道/燃料は大きな被害を被りませんでしたが、ライフラインが途絶した場合電気が最も早く復旧すると言われています。#電気自動車 は家庭や避難所の非常用電源としてもお役に立ちます#EV #地震 #停電 #日産リーフ pic.twitter.com/qDwMyv5YGM
— 日産自動車株式会社 (@NissanJP) September 8, 2018
レジリエントな社会を作るうえで非常に重要なコンセプトとして持続可能性、すなわち「普段使いのものがそのまま災害時にも活用できる」というのがあります。このリーフのビデオはこのコンセプトと非常によくマッチしています。よく災害時専用のシステムを作るという話がありますが、コスト的もかかるので持続可能(sustainable)とは言えません。平常時にも必要で使いつつ、いざ災害時には、しばしの間それを用いることで難を逃れることができるということができることが、レジリエントな社会を構築することにつながります。この「兼用」という概念が持続可能性を実現する上で重要です。EVカーが普及すると、このビデオのように、兼用でき、災害時の停電をしのぐことができるので、レジリエンスを実現する重要な社会の部品となることができます。
各分野で、このようなレジリエントな製品やサービスが普及することを願うばかりです。