衛生的デザインのすすめ
新型コロナウイルスでみなさん色々指先で触れないようにしているのではないかと思います。この「なるべく触らない」という行動パターンを、減触行動とでも呼びましょうか。
感染症対策としての、減触行動を支えるため、社会的な構造物に衛生的デザイン(社会的衛生デザイン)という考え方を導入する必要があるのではないかと思いました。
そういう意味で一番触れるのがドアですよね。ドアノブやドアの取っ手は、今やなるべく手で触りたくないですよね。JediやSithの皆さんは手で触れる必要はないのでしょうが(笑)、それ以外の人にとって一番いいのは自動ドアです。全て自動ドアにするのは難しいので、他の手段が必要です。ドアでよくあるのは、内から外へは押して明けるけど、逆は引くというものです(押す/引くが逆方向も)。今となっては両方とも押して開けることができれば、肘あたりで押すということが出来て、衛生的です。他にも、海外では足で開けるというドアもあるようです。
更に、必要ない場合は、積極的にドアを付けないというデザインを考えるというのが良いかもしれません。ちなみに、弊社の本社のトイレには入り口のドアはありません(個室部分ではないですよ)。今となるとこれはいいなと思います。
その他、公共空間で、指先で触れるものと言えば、
・エレベーターのボタン
・ATMや券売機や自販機のボタン
・水栓レバー(水道の蛇口)
等々考えられます。
水道は自動化が進んでますね。エレベーターは、音声で操作できると良いのかもしれません。時々「X階をお願いします」という声でその階のボタンを押してあげる(もらう)ことがありますし。駅の券売機は、JR東日本がQRコードで乗れるようにする方針なので、そのうち券売機が必要なくなっていくのかもしれません。これらのボタン類は、基本的に自分のスマホが代替できるといいかもしれません。例えば、ATMは、その前でスマホで操作して(ATMとスマホの何らかのリンク機能を前提として)、現金だけATMから出てくればいいわけです。要するにボタン操作は、自分のスマホでやるということですね。まぁ、これは、ジャストアイディアで、セキュリティなど色々考慮点は多々あると思います。
あと、以下のTwitter情報で知ったのですが、エレベーターのボタンをホログラムで表示して操作するのが中国にはあるそうです。これも一つの手段としていいかもしれません。
中国ではエレベーターで物理的にボタンに触れなくてもいいよう、空間に浮かぶホログラム映像で行き先を指定できる機器が開発されたようです。未来キタワァ・*゚(n'∀')η゚*。・ pic.twitter.com/NBNAFdUyGr
— ユルクヤル、外国人から見た世界 (@Yurukuyaru) 2020年3月20日
以下の日経新聞の記事では、大手エレベーターメーカーのフジテックが、手をかざすだけで触れずに行先階を指定できるオプションを提供開始したとありますね。この記事には、その他にも、NECのマスク対応の顔認証ゲート、オプテックスの手をかざして開けるゲートなどが紹介されていて、非接触の機能を取り入れたシステムが色々登場しそうです。
さらに、湯河原駅前のエレベーターには綿棒が設置されていて、綿棒でボタンを押してもらうようにしたそうです。
それから、握手を止めようと言う社会的慣習の変容の動きもありますね。
構造物や物理的なものだけでなく、感染防止に向けての社会的行動変容を促す行動デザインもこの社会的衛生デザイン(social hygiene design)の一つだと考えて良いと思います。
こうして考えてみると、社会的衛生デザインを考慮したものは、どれも平時でも有効なものですね。これは、自然災害の時に言われたレジリエンス性として重要な「平時でも使いながら災害時にも役立つ」という性質を満たしており、やはり、社会のレジリエンス性を考える上で共通の特性があるのだと思います。
これを契機に様々な対象を社会的衛生デザインの観点で見直してみると良いのではないかと思います。